複素積分の解法

著者:Mathcot.H.I.
 
初版::2007.07.03

Update:2014.05.27

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コーシーの積分定理(コーシーの第一定理)
コーシーの積分定理(コーシーの第一定理)
Dを単連結領域とし、f(z)はD上で正則である関数とするとき、
CをD内にある長さを持つ単純閉曲線と すると、

  ∫C f(z)dz = 0

つまり、ある領域を囲む曲線で複素積分をするとき、
領域内に正則ではない部分が存在しない場合には積分の値は0となる
この定理は、正則関数が無限回微分できる性質の裏返しでも ある。
経路積分とは定積分であるから、領域内に F'=f となるような
別の正則関数 F が存在する場合に、始点と終点を定めれば経路によらず
  ∫ab f(z)dz = F(b) - F(a)

となる。このとき 始点a と終点b が一致すれば積分路は閉曲線となるから積分値は 0 になる。


参考URL
[1]コー シーの積分定理
[2]
[3]

コーシーの積分公式(コーシーの第2定理)

ガウス平面上の領域において正則でない点が存在する場合の関数の経路積分についての定理である。

コーシーの積分公式[コーシーの第2定理]                         
 f(a)={1/(2πi)}∫Cf(z)/(z-a) dz
 f(z)={1/(2πi)}∫Cf(ζ)/(ζ-z) dζ
 f(n)(z)={n!/(2πi)}∫Cf(ζ)/(ζ-z)n+1
(n:自然数)、[グルサの定理]
[演習1] 複素積分∫C1/(z2-1) dz,
C: |z|=2(左周り) を求めよ。
[解答] f(z)=1/(z2-1) とおくと
f(z)=(1/2)/(z-1)+(-1/2)/(z+1)
 I=2πi {(1/2)-(1/2)}=0
[演習2] 複素積分∫C1/(z2+1) dz,
C: |z|=2(左回り) を求めよ。
[解答] f(z)=1/(z2+1) とおくと
f(z)=(1/2i)/(z-i)+(-1/2i)/(z+i)
 I=2πi {(1/2i)-(1/2i)}=0
[演習3] 複素積分∫C1/(z2-1) dz,
C: |z-1|=1(左周り) を求めよ。
[解答] f(z)=1/(z2-1) とおくと
f(z)=(1/2)/(z-1)+(-1/2)/(z+1)
 I=2πi (1/2)=πi
[演習4] 複素積分∫C1/(z2+1) dz,
C: |z-i|=1(左回り) を求めよ。
[解答] f(z)=1/(z2+1) とおくと
f(z)=(1/2i)/(z-i)+(-1/2i)/(z+i)
 I=2πi (1/2i)=π
演習5] 複素積分∫C z/(z2+3iz+4) dz,
C: |z|=2(左回り) を求めよ。
[解答] f(z)=z/(z2+3iz+4)=z/((z-i)(z+4i))
C内の領域に含まれる一位の特異点はz=iのみ。
Res{f(z),z=i}=limz→i [f(z)(z-i)]=limz→i {z/(z+4i)}=1/5
 I=2πi (1/5)=2πi/5
演習6] 複素積分∫C z/(z2+3iz+4) dz,
C: |z|=5(左回り) を求めよ。
[解答] f(z)=z/(z2+3iz+4)=z/((z-i)(z+4i))
C内の領域に含まれる一位の特異点はz=i, z=-4i。
Res{f(z),z=i}=limz→i [f(z)(z-i)]=limz→i {z/(z+4i)}=1/5
Res{f(z),z=-4i}=limz→-4i [f(z)(z+4i)]=limz→-4i {z/(z-i)}=4/5
 I=2πi (1/5+4/5)=2πi
演習7] 複素積分∫C z/(z2+3iz-2) dz,
C: |z|=3(左回り) を求めよ。
[解答] f(z)=z/(z2+3iz-2)=z/((z+i)(z+2i))
C内の領域に含まれる特異点はz=-2i, z=-i。
z=-i → |z|=1<3
z=-2i → |z|=2<3
この2つの特異点は共に積分路Cの原点を中心とする半径3の円|z|=3内にある。
f(z)=z/(z^2+3iz-2)とおき留数を求めると
Res(f(z),-i)=lim z→-i z/(z+2i)=-1
Res(f(z),-2i)=lim z→-2i z/(z+i)=2
留数定理より
∫[c]z/(z^2+3iz-2)dz=2πi (-1+2)=2πi
演習8] 複素積分∫C z2/(z2+z-2) dz,
C: |z|=4(左回り) を求めよ。
[解答] f(z)=z2/(z2+z-2)
一位の特異点は
(z^2+z-2)=(z+2)(z-1)=0より
z=-2 と z=1
z=-2 → |z-i|=|-2-i|=√(4+1)=√5<3
z=1 → |z-i|=|1-i|=√(1+1)=√2<3
この2つの特異点は共に積分路Cのz=iを中心とする半径3の円|z-i|=3内にある。
f(z)=z^2/(z^2+z-2)とおき留数を求めると
Res(f(z),-2)=lim(z→-2) z^2/(z-1)=-4/3
Res(f(z),1)=lim(z→1) z^2/(z+2)=1/3
留数定理より
∫[c]z^2/(z^2+z-2)dz=2πi (-4/3 +1/3)=-2πi
演習9] 複素積分∫C z2/((z+3)(z-2)2) dz,
C: |z|=4(左回り) を求めよ。
[解答] f(z)=z2/((z+3)(z-2)2)
C内の領域に含まれる特異点はz=2 (2位の特異点), z=-3 (1位の特異点)。
Res{f(z),z=2}=limz→2 d[f(z)(z-2)2]/dz=limz→2 d{z2/(z+3)}/dz
 =limz→2 (2z(z+3)-z2)/(z+3)2=16/25
Res{f(z),z=-3}=limz→-3 [f(z)(z+3)]=limz→-3 {z2/(z-2)2}=9/25
 I=2πi (16/25+9/25)=2πi
参考URL
[1]コー シーの積分公式[Wikipedia]
[2]コー シーの積分表示(積分経路の変更、積分公式)
[3] コーシーの積分公式と複素関数のべき級数展開[PDF]
[4]コー シーの積分定理(演習問題)
[5]
[6]


 


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初版::2007.7.3
Update:2008.02.23
Update:2014.01.18/19
Update:2024/05/27


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